肥満は放置しておくと、さまざまな合併症の原因となってしまいます。近年では「メディカルダイエット(肥満外来)」として、病院・クリニックでのサポートが受けられるようになっています。
しかし、メディカルダイエットに興味があるけれど、保険適用されるのかどうかが気になっている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、メディカルダイエットがどのような場合に保険適用されるのか、その条件や具体的な治療方法について詳しく解説します。自費診療と保険診療の違いについても触れながら、あなたが最適なダイエット方法を選べるようにサポートします。
メディカルダイエット(肥満外来)は保険適用できる?条件について解説
メディカルダイエット(肥満外来)とは?
メディカルダイエットとは、医療機関で医師の指導のもとに行われるダイエット方法のことです。通常のダイエットが食事制限や運動を中心に行われるのに対し、メディカルダイエットでは、医薬品や医療機器を使って効果的に体重を減らすことを目的としています。
なぜメディカルダイエットが注目されているかというと、自己流のダイエットでは失敗しやすかったり、リバウンドのリスクが高かったりするからです。メディカルダイエットでは、専門的な知識を持つ医師が個々の体質や健康状態に合わせて最適な治療を提案します。そのため、安全かつ効果的に体重を減らすことが期待できるのです。
具体的には、食欲を抑える薬や、脂肪の吸収を抑える薬、さらには部分的な痩身を目的とした医療機器の使用など、さまざまな手法があります。また、医師が定期的に診察を行い、治療の進行状況を確認しながら進めるため、無理のないペースでダイエットを進められる点も特徴です。
ただし、メディカルダイエットには保険適用が限られている場合が多く、特に美容目的で行われる治療は自費診療となることが一般的です。費用面での負担が大きくなる可能性があるため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
健康的に痩せたい、リバウンドを防ぎたいという方には、一度医師に相談することをおすすめします。
メディカルダイエットの保険適用条件
メディカルダイエットが保険適用となる条件は、厳格に定められています。基本的に、美容目的で行われる治療は保険適用外となり、全額自己負担となります。しかし、健康に深刻な影響を及ぼす肥満に対する治療の場合には、保険が適用される可能性があります。
具体的には、BMIが35以上の「高度肥満症」と診断された場合、またはBMIが25以上で、肥満が原因で高血圧や糖尿病などの健康障害がある場合に、メディカルダイエットが保険適用の対象となることがあります。これらのケースでは、肥満外来などでの治療が保険適用となり、医師が必要と判断した治療が受けられます。
ただし、保険適用となる治療内容は限られており、主に食事指導や運動指導、さらには食欲抑制薬の処方などが中心です。脂肪吸引や美容的な痩身治療といったメディカルダイエットの一部は、保険の対象外となるため、自己負担で受ける必要があります。
このように、メディカルダイエットが保険適用となるかどうかは、肥満の程度や関連する健康問題によって異なります。治療を希望する場合は、まず医師に相談し、自分の状況が保険適用の対象になるかどうかを確認することが大切です。
メディカルダイエット(肥満外来)は何キロから対象になる?
肥満外来が対象とする体重は、一般的には「BMI(ボディマスインデックス)」という指標を基に決定されます。BMIは、身長と体重から計算される値で、肥満の度合いを示すために使われます。具体的には、BMIが25以上で肥満とされ、肥満外来の対象となる可能性があります。
具体的にどれくらいの体重が対象になるかというと、例えば身長が160cmの場合、体重が約64kg以上であればBMI25を超えることになります。このように、肥満外来の対象となるかどうかは、単に体重だけでなく、身長とのバランスで決まります。
しかし、BMIが25を超えているからといってすぐに肥満外来の治療が必要というわけではありません。健康に影響を与える肥満関連の病気(例えば高血圧や糖尿病など)がある場合、より積極的に治療が推奨されます。また、BMIが35以上で「高度肥満」と判断される場合には、保険が適用される治療が受けられることが多くなります。BMI35ですと、身長160cmの場合には体重89.6kgとなります。
そのため、肥満外来に行くかどうかを決める際には、自分のBMIを計算してみることが第一歩です。そして、健康面での不安がある場合や、体重管理が難しいと感じている場合は、専門医に相談するのが良いでしょう。医師が適切なアドバイスをしてくれますし、必要があれば肥満外来での治療を進めることができます。
内科で処方される「痩せる薬」の種類について
内科で保険適用となる痩せる薬には、いくつかの種類があります。これらの薬は、単に体重を減らすためではなく、肥満が原因で健康に悪影響を及ぼす場合に処方されます。
まず、最も代表的なのは「サノレックス」という薬です。サノレックスは食欲を抑える効果があり、BMIが35以上の高度肥満症の患者に対して処方されることが多いです。ただし、この薬は強い効果を持つ反面、副作用もあるため、医師の厳しい管理のもとで使用されます。また、処方期間が最大3ヶ月に限定されているため、長期間の使用はできません。
次に、糖尿病の治療にも用いられる「GLP-1受容体作動薬」があります。この薬は血糖値を下げる効果とともに、食欲を抑えて体重を減少させる働きもあります。GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病の患者で肥満が合併している場合に処方されることが多く、これも保険適用の対象となります。代表的な薬には「リベルサス」があります。
さらに、「SGLT-2阻害薬」という薬もあります。これは、血液中の糖分を尿として排出することで体重を減らす効果があります。この薬も糖尿病治療として用いられ、肥満が関わる糖尿病患者には保険適用で処方されます。代表的な薬は「フォシーガ」です。
これらの薬は、いずれも医師の診断と管理のもとで使用され、健康を守るために必要とされる場合に限り、保険適用となります。薬を使用する際は、医師と十分に相談し、副作用や使用期間についても理解しておくことが重要です。
メディカルダイエット(肥満外来)の費用について解説
医療ダイエットと医療費控除の関係
医療ダイエットを検討する際、多くの方が気にするのが「医療費控除が受けられるのか」という点です。医療費控除は、年間の医療費が一定額を超えた場合に、税金の一部が還付される制度です。しかし、医療ダイエットに関しては、控除の対象となるかどうかは状況によって異なります。
まず、医療費控除が適用される条件として、治療目的であることが必要です。具体的には、肥満が原因で糖尿病や高血圧などの健康障害があり、その治療の一環として医療ダイエットが行われる場合は、医療費控除の対象となる可能性があります。このような場合、医師の診断書や治療に関する詳細な記録を保管しておくことが重要です。
一方で、単に美容目的で行われる医療ダイエットは、医療費控除の対象外です。例えば、見た目を良くするための脂肪吸引や美容整形の一環としてのダイエットは、治療ではなく美容目的とみなされるため、税務上は控除が受けられません。
このように、医療ダイエットと医療費控除の関係は、治療目的か美容目的かによって異なります。医療費控除を受けたい場合は、あらかじめ医師に相談し、必要な書類を準備することが大切です。また、不明な点があれば、税務署や専門の税理士に相談することをおすすめします。
自費診療の医療ダイエットの費用
自費診療の医療ダイエットは、健康保険が適用されないため、すべての費用を自己負担で支払う必要があります。岐阜県で肥満症の治療を行っている「東海内科・内視鏡クリニック」では、さまざまな医薬品を使ったダイエット治療が提供されており、それぞれの費用は以下の通りです。
まず、GLP-1ダイエットに使用されるリベルサスの費用についてです。リベルサスは3mg、7mg、14mgの3種類があり、価格はそれぞれ異なります。具体的には、3mgが1錠あたり250円、30日分で約7,500円(税別)、7mgが1錠480円で30日分が約14,400円(税別)、14mgは1錠750円で30日分が約22,500円(税別)となります。この薬は、食欲を抑えることで体重減少を助ける効果が期待されます。
次に、SGLT-2阻害薬であるフォシーガの費用です。フォシーガは5mgと10mgの2種類があり、5mgは1錠280円で30日分が約8,400円(税別)、10mgは1錠420円で30日分が約12,600円(税別)です。この薬は、血糖値を下げる効果とともに、体重減少効果も期待できます。
また、脂質吸収阻害薬であるコレバインの費用は、1包あたり100円で、10包単位での販売となり、1包あたり110円(税込)です。コレバインは、脂肪の吸収を抑えることで、体重管理に役立ちます。
さらに、漢方薬である防風通聖散の費用は、1包50円(税別)で提供されています。防風通聖散は、脂肪燃焼やむくみ改善、便秘解消に効果があり、ダイエットのサポートとして使われます。
このように、自費診療での医療ダイエットは、使用する薬や治療法によって費用が大きく異なります。いずれも自費診療のため、治療を始める前に費用についてしっかりと確認し、予算に合わせて計画を立てることが大切です。
医療ダイエットクリニックの選び方
医療ダイエットを成功させるためには、適切なクリニックを選ぶことが非常に重要です。ここでは、初めて医療ダイエットを検討する方に向けて、クリニックを選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説します。
まず、信頼できる医師がいるかどうかを確認しましょう。医療ダイエットは専門的な知識と経験が求められるため、担当医師の経歴や資格、患者の口コミをチェックすることが大切です。医師の専門性や治療の実績が高ければ、安心して治療を受けることができます。
次に、クリニックの治療内容をよく確認しましょう。医療ダイエットには、内服薬、注射、医療機器を使った治療など、さまざまな方法があります。自分の目的や体質に合った治療法を提供しているクリニックを選ぶことが重要です。事前にカウンセリングを受けて、どのような治療が適しているのかを相談してみると良いでしょう。
また、料金体系が明確であるかどうかも重要です。自費診療の場合、治療費が高額になることが多いため、料金が透明で明確に説明されているクリニックを選びましょう。初回のカウンセリングや診察で、料金についてしっかり確認しておくと安心です。
さらに、通いやすさも考慮する必要があります。医療ダイエットは継続的な治療が求められることが多いため、通いやすい立地や予約の取りやすさもクリニック選びの重要なポイントです。無理なく通える場所にクリニックがあると、治療を継続しやすくなります。
最後に、アフターケアの充実度を確認しましょう。ダイエットが成功した後も、リバウンド防止や健康管理のためのサポートが提供されるクリニックを選ぶと、長期的に良い結果を維持しやすくなります。治療後のフォローアップがしっかりしているかどうかも、事前に確認しておくことをおすすめします。
このように、医療ダイエットクリニックを選ぶ際には、医師の信頼性、治療内容、料金体系、通いやすさ、アフターケアの充実度など、さまざまな点を総合的に判断することが大切です。自分に合ったクリニックを見つけて、無理なく安全にダイエットを成功させましょう。
まとめ
メディカルダイエットはBMIの数値やご自身の健康状態によって、保険の適用が可能か否かが決まります。一方で、美容クリニックでの施術など、審美目的でのメディカルダイエットは基本的に保険適用の対象外です。
費用を抑えつつメディカルダイエットを受診したい場合、まずは信頼できる病院・クリニックを訪れて相談してみることをお勧めします。
記事内で紹介させていただいた「東海内科・内視鏡クリニック」は、メディカルダイエットによる生活習慣病の予防に力を入れているクリニックです。岐阜県にお住みの方でメディカルダイエットを検討している場合、まずは相談してみてはいかがでしょうか。